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・ブラボーのおやつ日記 12 愛しのタルティーヌ編
あの頃の僕はなんて物事を知らない未熟者だったんだろう。
フランスパンは固くてちぎるのも大変。
ハムサンドなんて食べた日にゃ、噛み切れずに口の中を怪我するわ、中身はグニョっと出てきてしまうわで食べにくいったらありゃしない。
「だからフランスパンは好きじゃない」と思っていたのだから。
春まだ浅い4月の庭で、金髪の愛らしい少女が朝食を食べていました。少女は慣れた手つきでナイフを持ち、フランスパンを長いまま上下2つに切り分けるとバターとジャムを丁寧に塗って、端からかじり始めました。
一連の動作をうっとりと見入っていた僕はハッと我に返り、かぶりついていたパンを戻し、少女の動作を繰り返してみました。
するとどうでしょう!
厚さ半分になったパンはかじりやすく、形相を変えることも口を怪我することもありません。
後にこの形にしたフランスパンはタルティーヌと呼ばれると知りました。カフェにもバターを塗ったタルティーヌ・ブレだとか、パテを塗ったタルティーヌ・パテと言ったメニューがあります。
この時から僕はタルティーヌの虜になってしまったのです。
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時は流れて12月のオペラ通り。
前を歩いていたマダムが突然クルリと向き返ったのでぶつかってしまいました。パルドン!と言ってマダムはそこにあった店に入っていきました。
「パルドンじゃねえよ」とマダムの方を目で追うと、そこは『PAUL』でした。
『PAUL』はパリで大人気のチェーンのパン屋さんです。「石を投げたら『PAUL』に当たる」と言われるほどの店舗数ですが、いつもどの店も行列ができているそうです。
実際、昼時になると、ここの包装紙にくるまれたサンドイッチをかじりながら歩いている人を沢山見かけます。
しかし、店内でパンを食べられるのはこのオペラ通り店だけ。わたくしも迷わずマダムの後をついて入ることにしました。
10時台だったのでまだ朝食のセットが頂けました。 飲み物はココア、パンはフルートを選びました。
フランスパンは形や中に入れる物によって、名前が 色々ですが、細長い形の物はフルートと呼ばれます。
このフルートを上下2つに切り分けて、バターとジャムを塗ってと・・・。
あぁ、外側のパリっと感に中側のモッチリ感。
無塩バターの風味がフルートの塩味とマッチして、更にジャムの優しい味・・・。
口の中で美しいハーモニーを奏でながら、この噛み応えに頬の辺りの筋肉が痛くなってきて、明日はきっとパリジェンヌのようにキュッと締まった小顔になっていそう。
固いパンがどうしても苦手と言う方は、このタルティーヌをカフェ・オ・レに浸して食べるのもパリ流だそうです。
しかし本場フランスでできたてのフランスパンを頂けるほどの贅沢は無いでしょう。
そのままいっちゃって下さい。生のまんまでね。
こうやって考えるだけで、生つばゴクン。フランスパンて本当に好き。
好きだ好きだ好きだ大好きダー!!
夕暮れの児島湖で夕日に向かって叫んでいるブラボーを見かけたら、
どうぞそっとしておいてね。
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