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・ブラボーのおやつ日記 2 誘惑のワッフル菓子編

僕が彼女に出会ったのは夕暮れ迫るレイツェ広場の食料品店でした。
 色とりどりの華やかなパッケージのスナック菓子が並ぶ棚の片隅に、彼女は透明な袋にクリップで封をしただけと言ういでたちで佇んでいました。
 地味だけれど清楚で、そして「私は決して岡山で手にはいるような女じゃないわよ。」とでも言わんばかりの凛とした強さを漂わせていました。
 僕は引き寄せられるように彼女に手を伸ばしていたのです。
 一見するとアイスクリームのワッフルコーンの様な生地2枚の間にキャラメルを挟んだだけと言うシンプルなお菓子、しかし初めて口にした瞬間、僕は左頬をピシャリと打たれたような衝撃を感じました。
 中のキャラメルはただ甘いだけでなく、シナモンやナツメグなどのスパイスが効いており深みのある味わいなのです。そして、ワッフル生地は有塩バターをしっかり使って焼き上げられていると思われ、その塩味がお汁粉の塩昆布のごとく、キャラメルの味をさらに引き立たせて居るのです。
 何というコンビネーション! 「ああ、このワッフルをどの飲み物と合わせたら最高だろう。やはり苦みと酸味がバランス良い451Fブレンドか。紅茶だったら濃く出した ダージリン、いやディンブラも捨てがたい・・・。」
 僕の頭の中に451Fのメニューが駆け巡りました。そして次の瞬間「この味わいを独り占めするなんて!」と言う思いが込み上げ、僕は彼女を日本に連れて帰る決心をしたのです。 ・・・しかし、彼女は重かった。
 8枚入りで230ゥ。2つ買うと460ゥ。 460ゥと言うと新明解国語辞典(三省堂)の重さではないか。荷物を少しでも身軽にと誰しも考える旅の途中に於いて、これはかなりの思い切りのいる行動でした。
 結局彼女の魅力に屈し、僕は翌日もレイツェ広場に足を運んだのでした。
 オランダを離れるとき、空港のデリショップのやはり片隅に、お土産用化粧箱でおめかしをした彼女を見つけることができました(もちろん割高)。
 その時、一人の日本人女性が彼女を見つけ、手に取りました。 「お客さん、それいけますぜ。」 思わず売り込みたくなる衝動を抑えきれないブラボーなのでした。

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